歯の本数と説法

あなたは、自分の歯の本数を御存じですか?

乳歯は20本、永久歯は32本です。と話し出したのは、親知らずの治療に訪れていた歯科医院の院長先生でした。診察台の横に座る、院長先生は、楽しそうに、「歯」というものはね・・・と、幼い子に読み聞かせをするように話はじめました。鳥の歯は知っていますか?唐突な院長先生の質問に真剣に頭をひねりました。鳥の歯は、正直、見たことがありません。ご近所のインコちゃんが美味しそうに、エサを食べている姿を間近でみつめたことはありますが、インコの歯・・・ハテ?と思い悩んでいると、鳥の歯は「くちばし」ですよと、微笑みながら院長先生が教えてくれました。では、池に泳いでいる鯉の歯はどこにあるでしょうか?院長先生の質問は、続きました。池の鯉は、魚だから・・・、口です!と答えると、院長先生は、見たことがあるのですか?と、面白そうに私の顔を覗き込んできました。私が、言葉につまって考え込んでいると、喉の奥ですよと、助け舟を出すように、笑いながら答えてくれました。あなたの歯は、今、28本です。えっ、あとの4本は、どうしたんですか?と質問すると、4本は、みんなが気にかけている「親知らず」ですと、院長先生が、先ほど撮ったレントゲン写真をみせてくれました。この4本の親知らずの歯は、原始に生きた人々には、生えていたのです。彼らは顎が発達していたので、硬い食物を噛むために使っていたと言われています。現代人は、顎が小さく、食べものも柔らかいものが好まれるため、親知らずは、このように埋もれたままになることがあるそうです。私の現状としては話もできるし、痛みもないので、経過観察となりました。全ての親知らずを抜歯しなくてはいけないということではないんですね。